活動報告

2022.03.08
◆ 第20回 研究会の報告

3月8日(Festa della donna)18時から20時、第20回オペラ台本研究会をZoomnにて開催。 

会の前半では《ドン・パスクワーレ》第三幕・第5景を精読しながら理解を深めました。意味は取れるけれどなぜ「tetti(屋根)」という単語が使われているのか、「podestà」は辞書を引くと「(中世都市国家の)司法長官、執政長官」と出ているけれどオペラの中ではどのような意味合いで捉えるものなのかといった細かい点にも注意しながら丁寧に話し合って行く中でニュアンスをしっかり掴むことができたのではないかと思います。
 
会の後半では、研究会メンバーの古田耕史(ふるたやすし)さんによって上梓された研究書『ジャコモ・レオパルディ ロマン主義的自然観と〈無限〉の詩学』についてお話を伺うことができました。
 
イタリアの音楽史やオペラ史を考える上で「ロマン主義」という枠組みをどのように捉えるのか?といった問題についてもメンバーで意見交換できました(イタリア音楽史では基本的に「オットチェント」と年代で区切る)。
また、「追憶 Ricordanza」「夢 Sogno」「愛 Amore」「死 Morte」といったイタリアの歌ではお馴染みの
ワードについてもレオパルディの作品や思想を丹念に読み解いて行く内容は、歌い手にとって新たな地平を開いてくれる著作ではないでしょうか?
イタリアの文芸やレオパルディの偉大さを知るためだけでなく、ヨーロッパのロマン主義について考える上でも重要な内容が含まれています。
 
 
【出版社による紹介文】
近代イタリア最大の抒情詩人とされるジャコモ・レオパルディ(1798-1837)の、日本で2冊目となる本格的研究書。詩集『カンティ』を中心に、表現内容ならびに語彙・文体・音声などの側面から詩を丹念に読み解き、散文作品『オペレッテ・モラーリ』『省察集』などとの比較検討を通じて、その詩想と詩作法の本質に迫る。またペシミズムの哲学者として、ショーペンハウアーやニーチェ、夏目漱石らに深い影響を与えたレオパルディの、世界観と思想の本源を明らかにする。
 
 

森田学

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