活動報告

2021.11.25
◆ 第17回 研究会の報告

11月22日(月)18時よりオペラ台本研究会を開催しました。
 
今回は音楽大学(中でも声楽・オペラ専攻)におけるイタリア語教育について意見交換を行いました。
 
将来的にイタリアの音楽院への留学を考えている学生さんは、入学の時点でヨーロッパ言語共通参照枠(CEFAR)のB2レベルを取得する必要があります。シエナ外国人大学(CILS)の示す目安としては「日常生活の、より広範囲な場所に対応でき、また勉強や仕事において的確に意志の伝達ができる。イタリア語の授業を約250〜300時間受講したレベル」となっています。
これは時間数だけで見ても15000分〜18000分、大学の講義を90分としておよそ167から200コマ分にあたります。
週に1コマであれば半期15回×2=30コマ、もしくは2コマであれば年間60コマ計算になります。
週に2回イタリア語の授業がある講義を3年近く履修すると時間数としては到達可能です。
 
CEFARのもとめるB2レベルを目指すだけでも大変なことなのですが、音大生のイタリア語にはさらに先がある。
「使える外国語」といった表現がよく使われますが、音楽大学の声楽専攻に求められるイタリア語はオペラ台本や詩の内容理解の問題があり、オペラ台本や歌曲の詩句の日本語訳を参照して表現する以上の理解が求められることは言うまでもありません。とはいえ、イタリア演劇や文学専攻でもない大学生にいきなりそのレベルを要求するのは酷な話でしょう。と同時に、どれだけ難しくてもいい加減に通過することのできない、してはいけない課題です。できる・できないはともかくとして、できるようになりたい(もっと知りたい)といった内から溢れる欲求がなければこの問題に向かい合うことはできないと思われます。
 
西洋音楽に携わる者にとって英語が必要なことはもちろんのこと、自分のレパートリーの中心となるであろうヨーロッパ系の言語を最低1つはじっくり学ぶ必要性を私たちはこれからも訴えて行かねばなりません。

森田学

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