活動報告

2021.09.28
◆ 第15回 研究会の開催

第15回オペラ台本研究会を9月25日(土)16:00〜19:00で開催しました。
(今回は発表者のネット接続などにハプニングが起こり、『ドン・パスクワーレ』台本の精読は行っていません)
 
今回は、ヨーロッパ・オペラ上演の現状(特にバロック・オペラ)について辻先生にお話しいただきました。バイロイトやインスブルックでの音楽祭、チェスティコンクールなどについて詳しく知ることができました。演奏や上演作品についての報告はもちろんのこと、演出の意図や蘇演に際してどのような工夫や問題点があったのかについても、指揮者や演出家から直接インタビューした報告であることから、オペラ研究において非常に有用なものとなりました。そこでの辻先生の感想の中に、研究と実践が車の両輪のように前に進むことで計画がスムーズに進むといったお話があり、本当にその通りだと感じています。
研究会の後半には、オペラ歌手の声について、イタリアの研究者(そして愛好者)がどのように捉えつつ、接しているかについて話し合いました。来年、バスティアニーニが生誕100年を迎えます。イタリアのバスティアニーニ協会の年次大会に参加した辻先生が、その時の様子を解説を交えて話していただきました(先生は彼の評伝『君の微笑みーエットレ・バスティアニーニ』2003年の訳者)。なかでも一番興味深かったのは、チェッレッティがなぜ彼の発声を好ましいとしなかったのか、そしてバスティアニーニのバリトンとして初期のレパートリーにロシアものがあること(イタリア語歌唱)などでした。
 
今後は精読とあわせてオペラ全体の話題にも少しづつ触れて行きたいと思います。

森田学

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