活動報告

2021.06.21
◆ 第12回 研究会の開催

6月17日(木)18時より、第12回目となる研究会を開催しました。
前半部分では杉原先生によるドニゼッティの自己引用についての報告、
後半部分では第二幕・第4場の台本を読んで行きました。
 
オペラ台本の場合には話の流れがある程度明確であるため、
読み進めて行くうちに、比較的スラスラ読めるようになってきます。
しかし、精読してみると案外それまで気づかなかったところや
(解釈が大体正しいとしても)原文を正確に把握し切れていない
ことに気づくものです。今日はそれを顕著に感じた研究会でした。
 
原先生が、スピードを重要視すると処理速度の問題として<ノイズ>を
除去して進んでしまうけれど、この<ノイズ>を含めてそこに
何があるのか、どうゆう状態になっているのかを考えることこそ
重要なのではないか、といった主旨のお話をしていたのを思い出しました。
 
その一例として、ドン・パスクワーレが以下のようなセリフを歌います。
 
Il qual prefato etcetera
Di quanto egli possiede
In mobili ed immobili
Dona tra i vivi e cede
Alla suddetta etcetera
Sua moglie dilettissima
Fin d’ora la metà.
 
ややもすると2行目の前置詞「Di」を何となく読み飛ばしてしまいますが、
実は最終行の妻に与えられる財産の半分にかかることがわかると思います。
一般的な文法を勉強していると、こんなに離れたところの単語にかかるとは
思いませんよね。
また、生きているうちに財産を分与する話を早々にしているあたりも
パスクワーレのキャラクターを読み取るポイントになると思います。
 
来月は第5場以降を読み進めていきます。
本研究会では、学生さんやオペラ台本をきっちり読みたい、という強い意思を
もった方を対象に「台本ラボ」を開設しました。興味のある方はぜひご参加ください。

森田学

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