活動報告

2021.04.18
◆ 第10回 研究会の開催

4月の研究会が終わりました。
 
今回は《ドン・パスクワーレ》第二幕のエスネストのアリア〈Povero Ernesto 〜 Cerchero’ lontana terra〉の部分を中心に見てゆきました。
 
この作品はドランマ・ブッフォでありながら、このエルネストのロマンチックなアリアが作品の中央(第二幕冒頭)に配置されることで、オペラ・ブッファの系譜にありながらも非常に特殊な性格を備えたものとなっています。
例えばカバレッタ部分の最後に現れる詩句「sara’ pago il tuo fedel 君への愛に忠実な男は満足だろう」には、もともと「morra’ 死ぬだろう」が使われていました。歌い手の表現にも関わりますが、sara’ になることで単なる恨み節ではない、エルネストのキャラクターに広がりが感じられるかもしれません。
詩句から読み取ったものがドニゼッティによってどのように音楽化されたかについても意見を交わしました。この役、このアリアに求められる表現は、シンプルなようですが実は繊細で確かな技巧が必要不可欠、それでいて技巧的・音楽的な演奏が全面にでると役が生きてこないという難曲だということも再認識出来ました。
 
各幕の楽曲構成、種類や配置からもキャラクターがどのように提示され、ドラマが展開するかも見て行こうと思います。

森田学

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