活動報告

2021.01.31
◆ 第8回 研究会の開催

 オペラ台本を読む会の2021年1月研究会が終わりました。
 今回は第一幕ノリーナのカヴァティーナ終わりからドットーレとの二重唱までを見て行きました。

 

 台本の訳を確認した後に台本と楽譜(ヴォーカルスコア、フルスコア)とのセリフやト書きの違いを細かく確認しました。それから、ドニゼッティが加えた変更が音楽的に、演劇的に見た場合にどのような効果をもたらしているのかを議論します。
 dareの遠過去の活用die’やpurche +接続法の節をきっちり読むこと、「mettere a parte 参加させる」をドニゼッティが「mettere qlcu. a giorno di qu.co 誰かに(何かの)最新情報を知らせる」に置き換えた際の意味の違いも確認しながら音楽に着目して行きます。
 二重唱を「solita forma 定型」に当てはめて見るか、モチーフの展開方法に着目してA-B-Cのセクションで見るか。正解がひとつではない問題について作劇法の観点から議論を交わしました。

 

 和声の使用についても特徴があることを確認しました。例えば「3度転調」と呼ばれるような、少し唐突さも感じられる転調が数か所に散りばめられています。研究会中では「ギアチェンジ」という表現もなされましたが、ギアチェンジを通して、次第にノリーナが主導権を握っていくような、転調と演劇的効果の関係についても意見があがりました。
 リズムについては、大きくは「付点八分音符+十六分音符」(俗にいう「タッカ」)のリズムパターンと、三連符によるリズムパターンが基調となって、曲が構成されていることも確認しました。リズムに着目することで、例えば、ノリーナとドットーレのどちらかが新しいリズムパターンを提示した際、それに迎合するのか、それとも拒否するのか、ということからも2人の心の距離や思惑が浮かび上がるようです。

 

 次回は2幕へと進んでいきます。引き続き、丁寧に作品と向き合う研究会にしていきます。

森田学, 小田直弥

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